全日本選手権 男子 1回戦
同志社大学 対 ナニワラクロスクラブ 12月8日(土) 舞洲スポーツアイランド
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1Q |
2Q |
3Q |
4Q |
TOTAL |
| 同志社 |
1 |
2 |
2 |
1 |
6 |
| ナニワ |
0 |
2 |
1 |
1 |
4 |
得点者
#2 東野
#6 柏
#8 安谷
#9 鈴木
#11 木目田
#12 羽原
激震・舞洲に走る
同志社のユニフォームが最後に全日本選手権の舞台で踊ったのは三年前。
当時一回生だった豆粒達はどんな思い出先輩たちの涙を眺めていたのだろうか…。
舞洲運動公園球技場。
あの頃とはユニフォームこそ変わってしまったものの、熱い闘紫達が全日本の舞台へと戻ってきた。
コーチ寺崎氏曰く、「10回対戦して、1回は勝てるはず!その1回を今日に持って来る。」。その為の戦略は全ての選手の頭にインプットされている。今日の試合をどれほど心待ちにしたことだろうか。
対するナニワラクロスクラブは関西の老舗。老練なプレーと試合運びは定評のあるところ。
ナニワの強力AT陣を今季関西最強と評判高い同志社DFがどのように抑えるか、そして日本代表G吉田と関西No1癒し系ゴーリー・河原(#16)の対決などなど、話題性の高さでは全日1回戦の四試合の中でも群を抜く好カードとなった。
前回神戸戦での教訓を生かして、Face Off部が取った秘策。
それはウィングLMF2本作戦。
そしてその後もATをショートMFでシャットする事で常にMFディフェンスに二人のLMFを投入する。
この作戦が功を奏しFace Offを高い確率で混戦のグラウンドボールに持ち込んだ。
このグラウンドボールに対してがむしゃらに絡むことでより多くのポゼッションを獲得し、まず火を噴いたのが野獣・安谷(#8)。リーグ後半戦から調子を崩していたワイルドボーイはここに来て野性の血を煮えたぎらせ、それまでの鬱憤を晴らすかのように声高く咆哮をあげる。
また特筆すべきプレーははライドであろう。
知将・福田(#29)の作戦によって更に洗練された組織的ライドはナニワの機動力を剥ぎ取りクリア中に度々のボールダウンを引き起こさせる。そしてこのグラウンドボールにMF陣が激しく絡み、三度ポゼッションを獲得。ナニワにペースを掴ませずに、まずは第1クォーターが終了する。
第1クォーター同様の作戦で次へと望んだ我々が社会人の上手さを実感したのはここからだった。
早い展開と鋭い1ON1で同志社DFを崩しにかかるナニワ。
度重なるピンチを暴れん坊副将軍・浅野(#26)を中心としたDFが必死に防戦。
この試合Wロングミディーとしてフル回転する中垣(#18)と小林(#23)の二回生コンビも粘り強いDFを見せる。
また元日本代表である上田をシャットすることによってナニワの決定力を低下させるという作戦も見事にはまり、同志社一点リードのまま張り詰めた時間が流れる。
この状況を打破したのがナニワ#5の濱崎。
5ON5により空白が出来たスペースからの素晴らしいショットが同志社ゴールを揺らす。
同点。同志社陣営に不安と緊張が走る。しかしこれを一瞬にして払拭したのは田辺のリディア・シモンこと羽原(#12)。学生らしく走力と体力にものを言わせた彼のプレー・スタイルらしい迷いのないショットを一撃必殺で叩き込んだ。
またパスを受けた小さな巨人・鈴木(#9)が相手DFを翻弄するトリッキーなプレーで更に追加点。
3−1とナニワをもう一度引き離しにかかる。
しかしそれを許さないのが社会人の上手さなのだろうか。鈴木の得点直後、ナニワは昨年の京都大学の主力・有本が清水からの針を通すようなフィードを受けてショット。
点差を一点として後半に望みをつないだ。
第2クォーターにおいて、10分のナニワの浜崎得点以後大きくゲームが動き出したが、それに躍らされずに見事なDFを見せる同志社。度重なるマンダウンのピンチを凌ぎきり、良いリズムで後半をむかえる。
3Q、ギャンブラー柏(#6)が設定10のフルスロットで回転連発。
スロットの負けとリーグ戦一点の敵を取るように、まずは木目田のフィードにあわせて得点。
続いて攻守の早い切り返しから生まれたルーズボールに敏感に反応して、再びゴールにねじ込んだ。
一方DFにおいても相変わらずの堅守を展開。クォーターを追うごとに更に冴えを見せるリーグ戦優秀選手の河原(#16)のセーブにも助けられて、このクォータ終了時には5−2。
ゲームの流れをガッチリと握り締めたまま第4クォーターに突入する。
死闘。
まさにその言葉がピッタリとはまる第4クォーター。
先手を取ったのはナニワだった。
必死に守るDF陣がファールを犯してしまうのは必然。しかしそのファールに乗じて得点を奪うしたたかさ、まさに社会人の上手さであろう。
同志社のマンダウンから始まったこのクォーター、清水のフィードを植田が黄金の左で見事河原のニァに放り込む。
その後も元日本代表、JAPANの頭脳・柴田を中心としたナニワOFが同志社の喉元に刃物を突きつける。
ここで四年目の意地を見せたのが重戦車・浅野(#26)。
同志社DFの亀裂を作ろうとする柴田の執拗なまでの1ON1を、地味ながら粘り強いDFで撃退する。
またシャットするショートDFをカバーするために、コントロールタワー梶原(#24)もフル回転。
気迫みなぎる攻防戦、動かしたのはやはりナニワのレフティー植田であった。
シャットの僅かな隙をついての絶妙なショットで遂に一点差へと追い上げる。
点差は一点。
もちろん守りきる自信はある。しかし、もう一点、あと一点がどうしても欲しい。
そんな願いを叶えたのは#2の東野だった。
ブレイクになると俄然体力が回復するという彼らしいプレーでナニワを突き放しにかかる。
しかし、勝利にかける思いは学生も社会人も何ら関係無い。それまで以上に激しい攻勢をかけるナニワに歯を食いしばって耐える同志社。
息をするのも忘れるようなこの戦いではあるが、ここで突然の試合終了のホィッスル。
そう、時間さえも止まってしまいそうなこの空間にも、やはり時間は流れているのだ。
歓喜の渦がグラウンドに中央に出現した。
やや疲れた、しかし心地よい疲れに身をまかせながら笑顔で中央に向かうDF陣。
]この日、「全日では学生は社会人に勝てない」という3年間のジンクスが破れた。
予想外の展開に戸惑いを隠せない神戸の選手達。一つの歴史を目撃した観客達。
興奮が渦巻いた舞洲にも静けさが戻ろうとしていた。
では、この勝利は何故もたらされたのであろうか?
精神面での戦いも大きかったのかもしれない。
しかし一番大きかったのはやはり戦略面だろう。
徹底されたゲームプラン、それがものを言ったのは間違い無い。
勝利の瞬間、コーチ寺崎氏がしてやったりの笑顔を見せたのを、私は今でも覚えている。
ひょっとすると試合前から、彼の脳裏にこの光景は映っていたのかもしれない。